講評 2026年1月
兼題「寒の水」「冬の鳥」
総評に代えて
〇「寒の水」は「水」の季語としてはやや特殊です。「春の水」や「秋の水」等が景色の季語でさわってはいけないのに対し、寒の水は飲んだりしても大丈夫な季語です。面白いですね。
〇その寒の水、なぜか皆さん「五臓六腑にしみわたる」と詠んでしまう。ご自分の言葉を探してください。
〇「冬の鳥」と「冬鳥」は意味が違います。歳時記で確かめてください。
〇冬の鳥はなぜか赤い実にご執心のようです。
〇兼題から外れている句で、没にするにはもったいない句を一句選んでいます。こういうこともありますね。
〇兼題を出してあるタイプの投句欄には大きな特徴があります。それは、「多くの人が季語にもともと入っている、あるいは含まれている言葉をもう一度繰り返してしまう」「季語の説明に終始してしまう」ということです。
今回はそういった事態を避けるための簡単な方法を記してみましょう(「寒の水」の句にさらに「水」を入れている例がどれほど多いことか!)。
まず、(たとえば)兼題の 寒の水 を最初に書き出します。
1 寒の水
寒の水といえば、自分は何を思うだろう、ということを2に書きます(この時点では、1とべたべたな内容で構いません)。この人は「命」にしました。
2 命
命といえば…そういえば星にも寿命があるらしい(この時点では1をきれいに忘れ、2に近いものを考えます)。この人は「星」にしました。
3 星
星といえば瞬きますよね。で、この人は4で「瞬く」にしました(やはり2をきれいに忘れ、3に近いものを考えます)。
4 瞬く(瞬き)
本当は七つかそれ以上連ねるのがいいのですが、最初ですから、これぐらいに。寒の水 から始まり、瞬くまで進みました。季語から離れた言葉に行ってしまったようですが、じつはちゃんと細い糸でつながっているのですね。
そこで一句詠んでみました。
折々は星の瞬き寒の水 夜の手水場でしょうか。ああ、「星」「瞬き」が両方入りましたね。ちょっとまずいかしら。
次のような句も詠んでみました。
寒の水空は瞬くものに満ち 星といわずに星を表現した句です。
ご自分のノートにさらさらっとメモしたり、俳句の好きなお友達とアイディアを出し合ったりしてゆく中で、ほんの少しずつ季語から離れてみる訓練ができると思います。次はそんな中から生まれたものですが、はたしてどんな句ができたでしょうか。
寒の水 → 透明 → 硝子 →割れる
寒の水 → 旅 → 橋 →響く
1 俳号 瀬古和子
冬の鳥つきつきつうと打ち鳴いて
3 俳号 和田正尚
産土の柄杓新し寒の水
5 俳号 渡辺 葉月
寒の水いまけざやかに身を過ぐる
撥ね強き枝好むらし冬の鳥
7 氏名 星野 茂美
渓谷に鳴き声響く冬の鳥
8 俳号 文月詩架
寒九の水病ひの友へ届けたり
9 氏名 小谷 治子
寒の水謂れの井戸は蓋されて
10 氏名 原 恵美
口の中目が覚めるよう寒の水
11 氏名 小野 幸代
悴んで墓石あらふ寒の水
冬の鳥つがいで浮かぶ川面かな
12 俳号 城下早苗
じんじんと白き指先寒の水
13 俳号 匡華
諏訪湖その神と渡りし冬の鳥
14 氏名 岡村 典子
赤き実を嘴に寒禽飛びゆけり
夕空に鋭き声交はす冬の鳥
鉢植えの面しめらす寒の水
15 氏名 中野 尋恵
あちこちに羽を落とすや冬の鳥
16 俳号 古蔵 花音
蹲の水とたわむる冬の鳥
寄り添いて何を話すや冬の鳥
19 氏名 中濱 広子
寒の水指先そっと差し出しぬ
20 俳号 瀬戸の風
寒の水影より先に息あらは
22 俳号 松原ルカ
荒波のすなはまに立つ冬の鳥
☆朝暗く私の顔に寒の水
上五がわかりにくく、惜しい。ここを平明な表現にすれば、相当ユニークな作品になるでしょう。
24 氏名 穴繁 惠美子
青空に声さえわたり寒の水
25 俳号 金坂千位子
☆寒の水西に東に手を合わせ
不思議なもので、こう詠まれるとユーモラスな感じさえ出てきます。何かの効き目があるとか、不老長寿を約束してくれそう、と詠むよりも自分の動きに引きつけた方が明るい句になるという例です。
28 氏名 松村 幾子
一口で心潤う寒の水
29 氏名 村松 みゆき
曇天を押しひらくごと冬の鳥
30 俳号 西野悅入
冬の鳥朝日の中で動かざる
不老水てふ寒の水手に受けて
31 氏名 毎熊 正子
冬の鳥にぎあふ声の川面かな
32 氏名 元尾 ふさ子
集まりて大空を飛ぶ冬の鳥
33 氏名 川原 厚子
遠慮なく赤い実散らす冬の鳥
36 氏名 寺島 裕之
服を着た犬のステップ寒の水
40 氏名 今城 照子
☆予定なし買い物もなし寒の水
このぶっきらぼうな感じ、悪くありません。たまには少し投げやりな詠み方も面白いかも。
43 氏名 北村 貞子
車上にも跡を印して冬の鳥
49 俳号 杤尾まほ
☆金色の外灯泛べ寒の水
なかなか美しい作品です。寒の水を飲んで健康を祈る句がたくさんあった中で、かなり目立ちました。
山間を走る駅伝寒の水
50 俳号 藤本美和
冬の鳥二羽で優雅に青空へ
52 氏名 瀧谷 優子
群れなして何処めざすや冬の鳥
53 氏名 疋田 ちづ子
☆木漏れ日にとけて群れ飛ぶ冬の鳥
もう少し動詞を減らせば、ぴたりと立ち位置が決まったことでしょう。「動詞をできるだけ減らすこと」を心がけてみてください。
穢れなき天より降る寒の水
54 氏名 千田 洋子
朝靄の押しくら饅頭冬の鳥
58 俳号 小西博子
旅路にて出会えた歓喜寒の水
59 氏名 桑原 堆子
空の間に鳴き声響く冬の鳥
60 俳号 根岸さち
赤城山の裾野へ光寒の鳥
61 氏名 松川 しのぶ
寒の水抱きし龍は滝の底
62 俳号 我楽
☆コーヒーもあれもこれもと寒の水
もう少し言葉を刈り込んだほうがいいかしら、と思いつつ……ちょっと欲張りな感じが面白い一句です。
63 氏名 小田川 浩三
久々の晴れに集うや冬の鳥
64 俳号 浦崎まゆみ
友連れて冬の鳥らや戻り来る
65 俳号 水間水仙
合唱を空に響かせ冬の鳥
河口にて少年見上げ冬の鳥
67 氏名 山本 厚子
赤き実の少し残るや冬の鳥
自在鉤鳴る鉄瓶や寒の水
68 氏名 斉藤 洋子
田園に餌をついばむ冬の鳥
69 俳号 聖子
たっぷりと受ける手のひら寒の水
寒禽の声の数多や御神木
☆尾張より美濃へ川越え冬の鳥
旧国名が生かされている一句。「越える(文語なら越ゆ)」は終止形がヤ行ですので「越へ」にする必要はありません。
70 氏名 長松 素子
寒の水汲みて社へ子らの列
71 俳号 西山レモン
白きもの舞い散る空に冬の鳥
72 俳号 田中和敬
あざやかや白き大地に冬の鳥
73 氏名 木村 絢子
寒の水硯に注ぐ写経かな
74 氏名 小野 千早子
一人居の静けさの中冬の鳥
☆早朝の手に緻密なる寒の水
「早朝の」が要るかどうか迷いつつ……「緻密なる」はまことにユニークな表現です。誰にも似ていない一句に出合えた気分になりました。
76 俳号 おふさ観音雨堤
なみなみと花器に注ぎぬ寒の水
77 氏名 千葉 明子
☆幸せってちょっとしたこと寒の水
軽い詠み方が、かえって日常の大変さを浮き彫りにしている一句。ただし、一度しかできない表現であることは覚悟しておいてください(他の季語で何度も使用できないという意味です)。
寒の水こぼして笑ふひとりかな
78 氏名 細川 京子
冬の鳥淋しき景を彩りて
79 俳号 米崎 璃津子
☆段差なくわが身流れる寒の水
上五がかなりユニークで、そのぶん、評価がわかれそう。ご自身を滝か川のように扱ったところ、勇気がありますね。
行く先は問うな追うなと冬の鳥
冬の鳥安息ならず飛びたてり
80 氏名 小林 茂之
☆硬水もまた軟水も寒の水
「硬水も軟水もまた寒の水」という語順も考えられます。水のゆたかな日本ならではの作品だと思われます。
☆寒禽や血洗島という地名
「血洗島」はなかなか物騒な地名ですね。その由来を考えつつ、渋沢栄一の生涯に思いを馳せるのもいいかもしれません。
マッチ擦るやうな鳴き声冬の鳥
82 氏名 笠倉 まゆみ
☆定刻に待つや名のある冬の鳥
やや誤解されそうな句。それは「名のある」ゆえです。ふつうは有名な鳥のことですが、この句ではご自身が(あるいは近隣のかたが)名付けをしたという意味なのでしょう。少しだけ表現を工夫したいところですね。
83 氏名 林 美智子
寄り添って水脈の絵残す冬の鳥
84 俳号 真裕
冬の鳥川に浮かんで陽を浴びて
86 俳号 國井あき
☆寒つばき抜ければ終の住処かな
兼題からは外れていますが、この句のたたずまい、そして春そのものの椿ではなく、寒椿であるところがいいですね。
87 氏名 田邊 法子
☆指先の切り傷寒九の水ひかり
中八になっていますが、七音にするために「指先の傷や寒九の水ひかり」にしてしまうと勢いがそがれてしまう。選者としていろいろ考えさせられた作品でした。
☆寒の水とがりて匙の反射光
なかなか凝った句です。言葉と言葉が緊密に構成されており、見ばえのする作品ですね。
考えてゐるごとじつと冬の鳥
88 俳号 橋本千蓼
冬の鳥リースの実まで啄める
89 俳号 おおもと文薫
早口のおしゃべり楽し冬の鳥
92 俳号 二人静
冬の鳥豊かに憩う昼下がり
93 氏名 小林 真寿美
冬の鳥耕す人を見守りぬ
94 俳号 長岡純子
利根川のとどこほりなく寒の水
95 俳号 十勝 晴尋
掌に掬ひて痛し寒の水
空蒼く冬の鳥舞ふ遙かなり
97 氏名 菅野 純紘
鳴き声のつつましやかな冬の鳥
長旅やよくぞここまで寒の水
98 氏名 吉田 鈴子
灘訪うて寒九の水の染み渡る
寒の水為さねばならぬこと多し
99 氏名 河崎 柳子
☆寒禽や枝枝揺れて二羽三羽
じつは「二羽三羽パターン」の句がほかにもありました。この句の場合、下五で思い切った展開があってもいいように思われます。もっと数を増やすとか、一羽きりなのに揺れたとか……。
101 俳号 副彩
羽ばたきて流れに任せ冬の鳥
102 氏名 堀江 春代
ふっくらとゆったり泳ぐ冬の鳥
103 俳号 田中恵子
雪しきり何処を塒に冬の鳥
104 氏名 駒木 典子
冬の鳥脚一本の覚悟かな
夕暮のチャイム懐かし冬の鳥
107 氏名 小牧 正人
☆洗顔は寒の水にて吾になる
かなりわかりにくい作品なのですが、名句の種がありそうということで頂きました。「洗顔や寒の水にて吾になる」「洗顔は寒の水なり吾になる」というように、どこかで一度切るとすっきりすることでしょう。
108 俳号 西田佳代
ひとまわり身体が縮む冬の鳥
109 俳号 大久保恭子
☆筆を置き墨する音や寒の水
上五が言わずもがなかしら、と思いつつ、この句の静けさに惹かれました。筆を持ったまま墨をすることは、ふつう、ないですよね。
110 俳号 西村せつ子
神棚にいの一番の寒の水
111 氏名 富永 美智子
冬の鳥遠き雲間に光射す
☆寒の水光の珠となりにけり
寒の水そのものを描写した句。美しいです。自分で飲んでいないところもいいですね。
112 氏名 比嘉 啓文
冬の鳥雲に溶けゆく遠き空
113 俳号 高島實子
砂山やしばし睦みて冬の鳥
もとの句は三段切れになっていましたので、ちょっと変えてあります。どちらがいいか、検討なさってください。
116 俳号 美紗
冬鳥や赤き実こぼし音立てぬ
117 俳号 冨湖
白粥をとろとろ煮たり寒の水
寒禽の嘴いつぱいに大きな実
118 俳号 津島まあや
流し台横に備えし寒の水
神棚の榊生き生き寒の水
119 俳号 三貴子
閑かなる神宮の杜冬の鳥
120 俳号 紅花
行きたるも帰る道あり冬の鳥
121 俳号 伊崎宏子
謹んで夫の墓前に寒の水
冬の鳥無口で川を流れおり
124 氏名 秋山 久美子
にじいろに一斉放水寒の水
125 氏名 星谷 絹代
つくばいにあふれているよ寒の水
126 俳号 木本天祐
洗顔も感謝の思ひ寒の水
127 俳号 雅月
盃に母はいただく寒の水
野菜の芽喰みて去りゆく冬の鳥
128 俳号 植田良穂
寒の水古き蔵にも芳香が
130 俳号 齋藤弘子
小走りに見上げる雲間寒の水
江戸川の景色の極む寒の水
131 氏名 檜山 八穗子
冬の鳥ゆるゆる風に任せたり
133 俳号 伊藤京子
山麓の小さき手水舎寒の水
136 俳号 長澤きよみ
☆寒の水豆腐の白を揺らしけり
「白い豆腐」ではなく、「豆腐の白」にしたところが素晴らしいです。この季語では珍しく、すぐれて視覚的な作品でした。
パレードの魁となり冬の鳥
水輪いま川幅満たす冬の鳥
137 氏名 伊藤 美子
一日の始まり歌ふ冬の鳥
ゆうゆうと風に揺られて冬の鳥
138 氏名 木村 裕子
寒の水五十鈴の淵に身をかがめ
根つこごと抜いてざぶざぶ寒の水
139 氏名 足立 ひでみ
寒の水腕をまくりて菜を洗ふ
140 俳号 Tetsuko Terasawa (寺澤哲子)
技一本決める女の寒の水
電線に気配を消して冬の鳥
141 俳号 百 博泉
無垢な目で何を見ている冬の鳥
143 俳号 徳永恵風
厨房の寒九の水に身を縮め
144 氏名 横松 きよみ
軒下を水平に飛ぶ冬の鳥
147 俳号 秋乃雫
夕暮や枝に寒禽影絵めき
148 俳号 佐登華
冬の鳥杭に整列二時間目
149 氏名 矢橋 徳子
飛沫上げ番で奔る冬の鳥
152 氏名 林 佐知代
一斉に羽ばたき啼くや冬の鳥
153 俳号 鈴木美和子
鳴き声が夕暮れ知らす冬の鳥
154 俳号 古田 啓
寒の水天の恵みに身震いす
155 俳号 川端日出子
☆落とされし豆腐を受けて寒の水
「受けて」が面白い。ありそうでなかった内容の句です。
156 氏名 小谷松 直子
寒の水今日は墓石にかけずおく
158 俳号 山﨑詩乃
飛び立つも止まるも群れて冬の鳥
新参の鉢にやりたる寒の水
160 氏名 小栁 美千代
寒の水茶せんの音の軽きかな
161 氏名 西 義信
悠然と水面見つめし冬の鳥
163 氏名 青木 豊江
☆寒の水掬へばあかき生命線
寒の水によってクローズアップされたわが生命線。そこを流れる血潮が明日のすこやかさを約束してくれたかのようです。かなりいい句だと思いました。
寒の水ふくめば郷のなつかしき
寒禽のこゑと共なる山歩き
164 俳号 柴田康香
湿原にひときわ高く冬の鳥
165 俳号 末 博子
木に止まる数が少なし冬の鳥
166 氏名 植森 恵美子
高く鳴きわれを覚ませる冬の鳥
167 氏名 谷脇 照美
冬の鳥空の彼方に溶けてゆく
168 俳号 三和まこ
風強し波にたわむれ冬の鳥
169 俳号 いけしたきよこ
闘病の父にひと口寒の水
170 氏名 久保田 弘子
寒の水いよいよ白き手を伝う
☆寒の水溢れ食堂の朝始まる
中八ではあるのですが、捨てがたい句。それは、多くの投稿作品が神社の境内等、静かなところを描いているのに対し、この句には躍動感があったからです。
171 俳号 にっこり月子
境内の太き楠冬の鳥
嫁取りの話は禁句寒の水
174 俳号 水島五月
寒禽のしかと捉える小枝の緋
十方へ散り散りに発つ冬の鳥
☆肉叢(ししむら)を縦に貫く寒の水
かなり強い言葉のみで詠まれた句。それでいて、一語一語がきちんと生きているというか……こういう句を「カッコいい句」と呼ぶのだな、と感服しました。
177 俳号 吉田ゆうこ
群れをなし空を分けるや冬の鳥
178 俳号 福嶋美智子
聞きなれし冬鳥啼いて姿追う
179 俳号 志方早葉
渡りたい夢の吊り橋冬の鳥
180 俳号 山本五之三
寒九の水夢に元気な母のゐて
181 氏名 本間 勝
陽を受けて水面は褥冬の鳥
182 俳号 正原悦子
寒の水口にふくめば身もきよし
184 俳号 祐操
静けさの湖畔の水尾や冬の鳥
185 俳号 田中多加代
色々の野菜浸けおく寒の水
188 俳号 長尾笑元
冬の鳥風に向かいてすくと立ち
190 氏名 齊藤 健一
☆足跡を確かめ汲むや寒の水
人間以外のいきものも頼りにしている水場なのでしょう。どんな動物が来ているのかを想像するのも楽しい。
191 俳号 東里
寒の水含みて心引き締まり
192 俳号 椎木 雅子
もこもこと寝起きの夫冬の鳥
193 俳号 脇田弥生
冬鳥は木の葉揺らしてここにいる
194 氏名 山口 哲弘
日野川の仲睦まじい冬の鳥
195 俳号 高鍋春子
仏壇の樒に注ぐ寒の水
196 俳号 桜井 伸
身をすこし縮めて掬ふ寒の水
冬の鳥群れて日暮るる湊かな
☆風やんで樹幹あかるき冬の鳥
「樹幹」に焦点を絞ったところが素敵です。これが林や森ならかなり大味になってしまいますよね。「あかるき」の表記も神経が行き届いています。
198 氏名 平田 和美
薬飲む量も少なめ寒の水
雨止めば声を散らして冬の鳥
199 氏名 稲見 典久
冬の鳥いつもの木々に姿なし
202 俳号 梓小雨
冬の鳥枝から枝へ影あそぶ
冬の鳥啄みてすぐ風に消ゆ
204 俳号 白尾恵子
茶を点てる心真直ぐに寒の水
206 俳号 兵頭光子
寄りそいて沈む日惜しむ冬の鳥
ふっくらと羽重ねおり冬の鳥
209 俳号 白房
寒禽の群入替わる大樹かな
210 氏名 藤川 知之
もの言わぬ鉄橋を越え冬の鳥
211 俳号 矢羽田兎海
陽を浴びて枝々を舞う冬の鳥
212 俳号 大樹佐保
からからの心に沁みる寒の水
213 俳号 小池聖明
冬の鳥草に隠れた種食みて
214 氏名 川 智貴
寒の水汲みしタンクの重さかな
215 俳号 縞錆
電線と一つとなりて冬の鳥
灰色に明度のありぬ冬の鳥
217 氏名 岡田 慎太郎
☆寒禽や覆ふものなき枝にゐて
簡単にいってしまえば枯木や裸木に鳥がいるというだけなのですが、この鳥の覚悟もしくは無防備な感じがよく出ている句です。
早暁や草間めぐりて冬の鳥
寒禽や彩り帯びしものもゐて
221 俳号 カモミール
数滴を硯の陸に寒の水
☆蹲いに透ける青空寒の水
「本当に透けるかしら」と思い、見てみましたら、たしかに明るいところにある蹲には青い空が映るのですね。納得しました。
