講評 2024年7月兼題「夏休」「夕立」

第一回目ですので、まずは「この句が素敵」と思えるものをたくさん選びました。☆印は、「かなりいい句」と思えた作品に付けました。入選・佳作、もしくは「惜しかった句」については、次回以降に、じっくりと書きたいと思います。ともあれ、皆さま方の力作に感動致しました。今後が本当に楽しみです。

櫂 未知子

残り香を落として去りし夕立かな 和
☆虫の背をつかむ子泣く子夏休 加来響
満員のローカル電車や夏休み 岡田慎太郎
夕立や小鳥の声も潤いて はるうらら
夕立やスターフルーツ三つ落ち アミリアフクダ
☆夕立や絵本の上に猫ねむる アミリアフクダ
褒められて洗濯係り夏休み 大樹佐保
夕立の去りし歩道に鳩遊ぶ 岡田周子
☆アルプスの山並みはるか夏休 かずこ
夏休み机の上の時刻表 田中道浩
☆単線の車内賑わう夏休 水島五月
☆トラックの荷台の子らや夏休 水島五月
☆夕立の湖を渡つて来たりけり 桜井伸
絵日記の海の真つ青夏休 桜井伸
☆たれもゐぬ教室に風夏休 桜井伸
☆東京へいとこ帰りぬ夏休 桜井伸
夏休母と掃きたる停留所 髙理恵
寝転んで名作を読む夏休み 河野知足
親戚の家で怪談夏休み みつばちマーヤ
夕立や鳥も獣も姿なし 屋形雅代
夕立に交差してゆくハイヒール 北見薄荷
☆ディズニーの国よりもどる夏休み 田邊法子
☆不動明王眺めて夕立やり過ごす 田邊法子
旅途中夕立に先を譲りけり 啓子
夏休子供の姿見えぬなり 多加代
ザラザラとレゴの大作夏休み 佐登華
富士見ゆるサービスエリア夏休 塩田みどり
夏休み帽子水筒列をなす 吉田裕子
父さんを見送りました夏休み 志村宗春
足で踏み手で捏ねうどん夏休 鈴木美和子
ピーターになつて影踏み夏休み 長澤きよみ
老いの背の薄さを知るや夏休 山本五之三
水やりて野菜喜ぶ夏休 二人静
夕立や思わぬ人の電話有り 鈴風雅
驟雨過ぎ身の浄まりし墓前かな 矢橋徳子
☆夏休猫は受難の日々つづく 駒木典子
抱き上げた猫夕立のにおいさせ 縞
レールの音枕に寝たる夏休 多田茂樹
☆かき曇る琵琶湖を走る夕立かな 吉田鈴子
夏休み祖父母の家のにほひかな 檜山八穗子
☆裁縫は母が先生夏休み 小林茂之
晩節の木戸の乾きや夕立あと 小谷治子
夕立やゆつくり閉まる自動ドア 根岸幸子
夕立あと玉砂利の音響くなり 疋田ちづ子
ドーナツを大口開けて夏休 木本和子
夏休改札口に待つ祖父母 横松きよみ
特大のリュック来るなり夏休み 渡辺葉月
体力が切れる寸前夏休 星卓
甲斐駒に観とれるうちに夕立となる Y.M.Tsuna